全員10%割引より100人に1人タダの方が、実は儲かる?

特典といえば「全員に割引」という単純なものにしてしまいがち。今回は、ビックカメラのキャンペーンを参考に、エンターテインメント性のある特典について考えてみました。コストを下げつつも、効果や口コミを生み出すキャンペーン手法、ぜひご参考にしてみてください。

「100人に1人タダになる」に当たった方の経験談

ある方が土曜日、横浜のビックカメラにDVD-Rを買いに立ち寄りました。DVD-Rにするか、RWにするか、結構迷った未、安い方のDVD-Rの5枚パックに決めました。なかなか堅実派です。そして会計の時、事件は起こりました。

「当たりました」という店貞の声とともに、鐘が鳴らされたのです。

「おめでとうございます。100人に1人タダキャンペーンに当選されました。お会計は無料になります」

「100人に1人タダ」に当たったそうです。

普通ならここで大喜びすると思いますが、その方は逆に「めちゃくちゃブルー」になったそうです。理由は今回の会計金額がたった690円だったから。

今回のキャンペーンは690円でもタダだけど、10万円でも当然タダ(ちなみに景品表示法の関係で、上限は10万円らしいです)。「もっと高いもの貰っとけばよかった」そう悔やまれてならなかったそうです。

特典にはないエンターテインメント性とは

「100人に1人タダ」
この言葉自体にインパクトがあります。そこには全員付けの10%割引よりも不思議なワクワク感が存在します。

「もしかしたら当たるかも」という楽しみが常にあるわけです。ビックカメラぐらいになるとレジ通過100人に何時間もかからないでしょう。前の人が当たらなかったのを見れば、つい心の中で当たるように念じてしまいそうです。

当たったら大きい、でもいつ当たるかは誰にも分からない。

ここにキャンペーンの魅力があります。

当選確率は1/100なので、ビックカメラが今回の版促企画に持ち出す値引き額は、理論上では総売上の1%でしかありません。当然10万円当たる人もいれば、100円の人もいるでしょうが、客数が多ければ多いほど、当たった人の購入金額は限りなく100人の平均売上に近づきます。数学で言う確率の計算です。

そして「全員に1%値引きします」より「1人に全額返す」と宣言したほうがワクワク感を演出できます。
飲食店では、よく10%割引クーポンで集客していることが多いと思います。しかし、同じクーポンを用意している店舗が多い分、正直インパクトはそこまで強くありません。店の負担額は総売上の10%と非常に大きいにも関わらず「消費税分を引いてもらえるんだな」くらいの感覚です。

「1人タダ」の方が、クーポンをばらまくよりコストは小さい?

2つのキャンペーンにかかるコストを簡単に比較してみました。

分かりやすくするために通常1日100万円の売上があるお店を例にとります。

(1)100人に1人タダ方式と(2)10%総付けの企画で集客数を2割増しにできたとして、お店
が負担した値引き額(=販促費)がいくらになるか計算しましょう。

両方とも企画により、20%増の集客があったと仮定しています。

値引き額
  • (1)100万円×1.2倍×1%=1.2万円
  • (2)100万円×1.2倍×10%=12万円

実は(2)では、せっかく通常の1.2倍の120万円を売り上げているのに、そこから12万円値引きしているために108万円しか手元に残りません。

しかし(1)なら、120万円からキャッシュバック分を引いて118.8万円残るわけです。

その上、(1)の方がインパクトがあると思う人が多かったとしたら、アイデアで出費を抑え、効果を上げることに成功していると言えるのではないでしょうか。

今回1/100の確率で大穴を当てた方ですが、最後の一言になかなか含蓄がありました。

「キャンペーン期間中にまたビックカメラに行ったら、きっと高いものを買うだろうな」

どうやらお客さんに単価アップの仕掛けさえもこのキャンペーンには仕掛けられているようです。緻密な計算に裏付けられた心理戦とも考えられます。

ぜひ、あしたの商売繁盛にご活用ください。