もしかしてブラック求人になっているかも!?広告掲載時の労働基準法の基本知識(時間・賃金)

まもなく新年度。スタッフの入れ替わりで新たに求人広告を打つ方も増えてくる時期です。求人広告を載せる際に、媒体側でも労働基準法は当然チェックしますが、広告主側も知識として覚えておくことは重要です。意外と漏れや誤解も多い労働基準法の基本知識、その中から今回は「時間」と「賃金」についてまとめました。

労働基準法とは

労働基準法は昭和22年制定されました。以下の項目について、労働条件に関する最低基準を定めています。

  • 賃金の支払の原則…直接払、通貨払、金額払、毎月払、一定期日払
  • 労働時間の原則…1週40時間、1日8時間
  • 時間外・休日労働…労使協定の締結
  • 割増賃金…時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上
  • 解雇予告…労働者を解雇しようとするときは30日以上前の予告または30日分以上の平均賃金の支払
  • 有期労働契約…原則3年、専門的労働者は5年
  • この他、年次有給休暇、就業規則などについて規定しています。

労働基準情報:労働基準に関する法制度より

労働基準法は罰則付きの法律なので、違反した場合、刑事罰(罰金刑・懲役刑)が科せられる場合があります。

求人広告を出す際の労働基準法の注意点

上記の項目のうち、ぱどに求人広告を出稿いただく際に、意外とご質問いただくことが多いのは、以下の4点です。

  1. 労働時間
  2. 賃金
  3. 雇用形態(業務委託・派遣)
  4. 性別

今回は、その中から、もっとも求職者に悪いイメージを与えやすい「労働時間」「賃金」の表現のポイントを簡単にまとめました。

性別表現についての注意点の記事はこちら

労働時間の表現のポイント

労働時間の基本

労働基準法では、労働時間について

  • 「1日8時間まで・週40時間まで」
  • 「休日は週1日以上、もしくは4週間で4日以上」

と定められています。

求人広告には、勤務時間・休日を必ず記載し「ウチは、この時間を超えていないですよ。法律を守っていますよ」ということを、求職者に伝えなくてはいけません(業務委託の場合は不要です)。

以下の例外に当てはまらないのに、上記をオーバーしている場合は法律違反になり、求職者が労働基準法違反に気づいた場合、大きなクレームにつながってしまいます。

労働時間の例外その1.業種による例外

下記の業種で、なおかつ「労働者数が9人以下」の場合は、労働時間が「週44時間までOK」です。

  • 商業(卸売業・小売業・理美容業・倉庫業など)
  • 映画・演劇業
  • 保健衛生業(病院・診療所(医院・クリニックなど)・社会福祉施設(老人ホームなど)・浴場業など)
  • 接客娯楽業(旅館・ホテル・飲食店・ゴルフ場・公園・遊園地など)

「労働者数が9人以下」の職場は、例えば小規模なヘアサロン・飲食店・個人病院などの場合、この例外に該当します。

労働時間の例外その2.36協定による例外

「週40時間」の法定労働時間を超える場合は、労働者の代表(労働組合など)と企業の間で「協定 (通称:36協定(サブロクきょうてい)」を結び、それを労働基準監督署に届け出る必要があります。企業と「従業員個人」との合意ではNGです。あくまで「労働者の代表」と正式に協定を結ぶことと行政に届け出ることが必要です。

労働時間の例外その3.調整による例外

「変形労働時間制」を導入している場合は、1ヶ月(または1年)内での平均労働時間が「週40時間(例外業種は44時間)以内」になるなら、ある週で40時間を超えていてもOKとされています。

  • 例:月末は忙しいから、最終週は1日10時間。その代わり月初の週は1日6時間
  • 例:1-3月は忙しいから1日8時間の週6日勤務。7-9月はヒマなので週4日勤務

ただし、この制度も労働者・企業の間で協定を結ばないと導入できません(1ヶ月単位での調整の場合は「就業規則」で決まっていればOK)。

賃金の表現のポイント

最低賃金法により、雇用主は必ずお店・企業の「所在する都道府県で定められている最低賃金」以上の給与を労働者に支払わなければいけません。 もちろん求人広告に載せる給与もこれを上回っている必要があります。

2019年3月時点の一都三県の地域別最低賃金

都道府県名 最低賃金時間額 発効年月日
埼玉県 898円 平成30年10月1日
千葉県 895円 平成30年10月1日
東京都 985円 平成30年10月1日
神奈川県 983円 平成30年10月1日

「時給」はもちろんですが、日給・月給も、勤務時間で割った「時給換算額」が最低賃金を上回っていなければなりません。また最低賃金は毎年改定されます。9月に発表、10月に発効の場合が多いので、9月~10月に求人広告を打つ時にはご注意ください。

最低賃金の注意事項
研修中の給与も、最低賃金を上回っている必要があります。(例:平成30年度 埼玉県最低賃金(時間額)898円なので、 「時給900円※研修中は−50円」はNG)

また特定(産業別)最低賃金は、都道府県ごとに別途制定されていますので、ご注意ください。(例:埼玉県の自動車小売業)

また、以下のケースに該当していながら、割増賃金が支払われない場合は法律違反になり、求職者が労働基準法違反に気づいた場合、大きなクレームにつながってしまいます。

賃金の割り増しその1.時間外勤務

36協定を結んだ結果「1日8時間まで・週40時間まで」の法定労働時間を超えて働く場合、割増賃金が発生します。

時間外勤務の割増賃金は「2割5分以上」(25%以上)なので、通常の時給が1,000円の場合「時給1,250円以上」となります。

賃金の割り増しその2.休日勤務

法定休日である「週1日以上・4週4日以上」の休日に働く場合、割増賃金が発生します。休日勤務の割増賃金は「3割5分以上」(35%以上)なので、通常の時給が1,000円の場合「時給1,350円以上」となります。

「いつもは土日休みだけど、今週は土曜出勤になった」場合は、週1日の休日は確保できているので割増賃金は発生しません。ただし土曜に働いた分、週の勤務時間が40時間を超えるなら「時間外勤務」の割増になります。

賃金の割り増しその3.深夜勤務

22:00~5:00に働く場合、割増賃金が発生します。深夜勤務の割増賃金は「2割5分以上」(25%以上)なので、通常の時給が1,000円の場合「時給1,250円以上」となります。夜勤がある広告主(コンビニ・工場・医療施設・介護施設など)の場合、特にご注意ください。

賃金の割り増しその4.深夜かつ時間外勤務・深夜かつ休日勤務

例外ですが、それらが複数当てはまる場合は、それぞれの割増率がプラスされます。

例:22:00~5:00に働く(深夜勤務)場合で、それが時間外勤務(週40時間以上)の場合

割増賃金は「25%以上」+「25%以上」で「50%以上」になりますので、通常の時給が1,000円の場合「時給1,500円以上」となります。

例:22:00~5:00に働く(深夜勤務)場合で、それが休日勤務の場合

割増賃金は「25%以上」+「35%以上」で「60%以上」になりますので、通常の時給が1,000円の場合「時給1,600円以上」となります。

 

いまの時代、求職者がこれらの情報を手に入れることは簡単です。採用側が間違った知識で露出してしまうと、ブラック求人として拡散されてしまう場合もあります。ぜひ、これら基本的な労働基準法の知識をご参考にされてみてください。

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2019.04.04